「刺激臭」のイメージがあるアンモニア。
実はいま、火力発電所で燃料として使えるとして注目が集まっています。
今回は、次世代燃料として期待されているアンモニアについて初歩的な話を解説していきます。
アンモニアとは

化学式はNH3
普段の生活では尿などに多く含まれるため、あまりきれいなイメージを持っていない人もいるかもしれません。
しかし、飼育用の肥料に使われたり、半導体の製造ガスとして使われたりと様々な用途があります。
そのアンモニアが、火力発電所の「脱炭素」に効果があるとして注目されています。
アンモニアが脱炭素で注目される理由
アンモニアは、燃やしたときに二酸化炭素(CO2)を発生しません。
NH3ですから、炭素(C)成分がないのです。
このことから、化石燃料に置き換わる燃料として注目されています。
また、これまで飼料用の原料目的で生産方法が確立されているところも注目されている理由です。
水素から生成するハーバーボッシュ法が主流です。
水素は、水(H2O)の電気分解で生成することができるので、太陽光発電などの再生可能エネルギーを使うことができます。
うまく自然を利用しながら生成できるというわけですね。
アンモニア使用で火力発電所のCO2排出量が減る可能性
アンモニアは燃焼で二酸化炭素を排出しないため、その効果を最大限利用できるのは火力発電所ではないかとして、研究が今も進んでいます。
石炭火力発電所の燃料供給システムとの親和性が高く、小規模な改造でアンモニアを導入出来るようになるため、真エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が昨年から実証実験を進めています。
勘の良い方は「水素の方がよくない?」と思うかもしれません。
実は水素を使った研究も進んでいます。
しかし、水素は貯蔵や運搬に相当なコストがかかるため、2021年時点では、運用可能な状況ではありません。
燃やすとNOxガスが出る問題点はどうなったのか
アンモニアの工業利用は1950年ごろから始まったため、これまで燃料利用しようとした動きもありました。
しかし、アンモニアが燃焼した後に出るNOxガスが環境汚染を引き起こすとして開発は慎重に行われてきました。
最近では、NOxガスを低減する技術ができつつあり、火力発電所での実証実験がスタートする運びとなっています。
この一連の活動は経産省の協議会がロードマップを作成しているので興味のある方は読んでみてください。
ポイントは水素の供給量
燃料としてアンモニアを導入するには供給量の問題があります。
アンモニアは水素から作る方法が確立しているため、間接的に水素をいかに安く沢山作るかということがポイントになってきます。
クリーンな作り方は再生エネルギーから電気を生み出し、水素を電気分解することでアンモニアを作成する方法です。
しかし、現状の作り方は「水から水素の生成」「水素の貯蔵」「水素からアンモニアの生成」を個別の装置が行っているため、非常に高コストとなっています。
この生成方法をいかに低コストで行うかが鍵になってきます。
さいごに
次世代燃料として期待されるアンモニアについて、概要を解説しました。
私も情報を発信することで少しでもこの活動を応援していきたいと考えています。
また、面白い成果が出たら紹介していきたいと思います。